〇大衆文学資料

『世界大衆文学全集』ノート 
刊行順目録



  ちょっと前に北海道から来た某自家目録に、長年探していた改造社の〃世界大衆文学〃の『倫敦塔』が載っていたので、すかさず注文したのだが、残念ながら選漏れのため、手にすることはできなかった。ううむ残念だ。何年も前からいっているように、この一冊があれば全八〇冊揃いとなるのだが、これがいつになっても叶わない。そんなこともあったので、今回はこのシリーズを配本順に並べて、その全貌の一片を覗いてみよう。記したのは配本順位、巻数、タイトル、発行年月(昭和)の順。実は第67巻がどうしたわけだか何処かにまぎれこんでしまったようで、どうしても見つからない。で、申し訳ないが、推測で適当なところに押し込んでおいた。また、それは、手に取ったことのない『倫敦塔』とて同じである。
                           
1 2 家なき児 3・2
2 4 ルパン 3・4
3 18 宝島 3・5
4 21 シヤアロツク・ホウムズ 3・6
5 28 洞窟の女王、ソロモン王の宝窟 3・7
6 8 ダイヤモンド、カートライト事件 3・7
7 13 アンクル・トムス・ケビン 3・9
8  27 スカラムツシユ 3・10
9 15 メトロポリス 3・11
10 17 九十三年 3・12
10 20 ステラ・ダラス、ラ・ボエーム 3・12
11 26 ルコック探偵、河畔の悲劇 4・1
12 22 ゼンダ城の虜 4・2
12 31 三等水兵マルチン 4・2
13 10 マーク・トウエーン名作集 4・3
13 6 三銃士 4・3
14 7 放蕩息子 4・4
14 30 ポー、ホフマン集 4・4
15 16 カチュウシヤ 4・5
15 23 紅繁縷 4・5
16 19 スペードのキング、四枚のクラブ一 4・6
16 34 世界滑稽名作集 4・6
17 5 椿姫、マノン・レスコオ 4・7
17 12 巴里の秘密 4・7
18 24 海底旅行、宇宙戦争 4・8
18 35 世界怪談名作集 4・8
19 32 幻島ロマンス 4・9
19 36 世界怪奇探偵事実物語集 4・9
20 3 前線十万 4・10
20  29 海の義賊、ケエニクスマルク 4・10
21 14 英米新進作家集 4・11
21 33 ロモラ 4・11
22 1 鉄仮面 4・12
22 25 平妖伝 4・12
23 9 オリヴアー・ツウイスト 5・1
23 11 秘密第一号 5・1
24 45 ポムペイ最後の日 5・2
24 54 ノートルダムの佝僂男 5・2
25 38 水滸伝 5・3
25 48 赤襯衣物語 5・3
26 46 小公子、小公女 5・3
26 51 十字軍の騎士 5・3
27 42 二都物語 5・4
27 42 黒星 5・3
28 41 テス 5・5
28 47 あの山越えて 5・5
29 37 グランド・バビロン・ホテル 5・6
29 52 海の鷹 5・6
30 44 カルメン、コロンバ 5・6
30 50 ガリバアの旅 5・6
31 39 永遠の都 5・7
31 43 血と砂 5・7
32 40 ロビンソン・クルウソオ、十五少年 5・8
32 49 闇を縫う男 5・8
33 61 ヂェイン・エア(上巻) 5・9
33 62 ヂェイン・エア(下巻) 5・9
34 55 冬来なば 5・10
34 66 聊齊志異 5・10
35 56 クオ・ヴアヂス 5・11
35 60 ソーンダイク博士 5・11
36 57 ラ・バタイユ、震天動地 5・12
36 64 沙翁物語、ワグネル物語 5・12
37 58 千一夜物語 恋愛編 6・1
37 63 ウオタ・ベビ、トルストイ民話五篇 6・1
   59 モープラ 6・2
   67?西遊記
39 65 ヴエンデツタ 6・3
39 68 八犬伝物語 6・3
40 69 巌窟王(上巻) 6・4
40 70 巌窟王(下巻) 6・4
41 72 新聞記者スミス 6・5
41 80 有効期間十日間 6・5
42 74 フラウ・ゾルゲ 6・6
42 77 正義の人々 6・6
  76 愛国侠盗伝、悪魔博士 6・7
  78 倫敦塔
44 73 カーステンの家憲 6・8
44 75 善良な男 6・8
45 71 獅子狩の人 6・9
45 79 赤狼城秘譚、失踪婦人 6・9
                            

この全集は、A6判で基本的にカバーがついている。配本回数についてはカバーと、荷造用の箱、そして月報に記されているのだが、よく古本屋でみかける小豆色した裸本を手にしただけでは全く解らない。また、月報のほうも配本回数と総号数がちょっと違っているようで、このあたりも要注意。荷造用の箱も刊行途中で、二冊一括配本となったための苦肉の策だったらしく、装幀云々まで手が回らない実用的なものではあった。しかし今になってみれば、その実用性一辺倒の飾り気のない箱が捨て難い雅味を醸し出しているのだが。
 さて、通常の場合、全集の刊行部数は巻を追うごとに部数が減じてしまうのは、如何ともしがたい状況らしく、それがため全体の流れを大きくしようとするがため、第一回、第二回にできる限り人気作をもってくるのが常套手段で、それは江戸川乱歩や白井喬二らの回想でも明らかである。しかしながら、この全集は、中途で最初の予定を増やし、そのご再々度補刊を行っているのだが、それは裸本の実物を見る限り、大っぴらには宣伝していないようだ。であるからそのような視点だけで、このリストを読み込むのは危険であるだろう。 結局は、配本順のリストだけでスペースの半数以上を使ってしまったのだから、配本順位や二冊同時配本にみるカップリングにみられる面白さは、この場では語らず、今回は読んでいただいた会員諸氏の興味にお任せしたい。
 なんのことはない、このリストは自分のためのチェックリストなのかも知れない。手許にあるこの本のカバーは有る無し。月報の有無は。そんな蒐書のためではある。しかしながらそれだけではなく、最終的には完全な書誌が目指せればなどと、いつできるかも解らない楽しみのための途中経過でもある。
〈了〉

(1990-7 地下室)

追記、ノートルダムの佝僂男、黒星、倫敦塔の巻数を誤記していたので訂正(2003−4)


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